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佐賀県最低生計費試算調査の結果について

―佐賀で若者がふつうに暮らすためには時給1,600円以上が必要!―

○10月に改定された佐賀県の最低賃金は790円で、全国で最も低い最賃額である。この金額では、1日8時間で月21日間はたらいたとしても月額13万円余りである。ここから税金などを差し引くと、可処分所得は10万円ほどであり、国の貧困ラインを下回る可能性がある。

○今回、佐賀県労働組合総連合(佐賀県労連)では、佐賀県で労働者がふつうに暮らすために必要な費用を科学的データにもとづいて明らかにした。

○具体的には、主に佐賀県労連に加盟する各単産の労働者を対象に、生活のパターンを調べる「生活実態調査」及び持ち物をどれくらい所有しているのかを調べる「持ち物財調査」を実施し、その結果をもとに生活に必要な費用を一つひとつ丁寧に積み上げる「マーケット・バスケット方式」により、ふつうに暮らすために必要な費用を算定した。

〇調査には、805名が回答をしている(回収率約31%)。今回は、佐賀ではたらく10~30代で一人暮らしの若者111名分のデータの分析結果を報告するものである。

○佐賀市内で若者がふつうの暮らしをするためには、男性=月額241,972円、女性=月額242,732円(ともに税・社会保険料込み)が必要である。これは年額に換算すると約290万円となる。ちなみに、昨年福岡市でも同様の調査結果が公表されたが、男性=月額227,536円、女性=月額236,621円であった(ともに税・社会保険料込み)。

○この生計費で想定した「ふつうの暮らし」の内容は、以下のようなものである。

・佐賀市本庄町の25㎡の1Kのワンルームマンション・アパートに住み、家賃は34,500円(2階、エアコン付き)。中古の軽自動車(55万円)を所有し、通勤や買い物、レジャーに使用している。

・冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、掃除機などは、量販店で最低価格帯のものでそろえた。

・1か月の食費は、男性=約38,000円、女性=約29,000円。朝晩は家でしっかりと食べ、昼食は、男性はコンビニなどでお弁当を買い(1食あたり500円)、女性は昼食代を節約するために月の半分は弁当を持参。そのほか、月に1回、同僚や友人と飲み会に行っている(1回当たりの費用は4,000円)。

・衣服については、仕事では男性は主に背広2着(約20,000円)を、女性はジャケット2着(6,000円)を、それぞれ4年間着回している。

・休日は家で休養していることが多い。帰省なども含めて1泊以上の旅行は年に2~3回で、年間の費用は6万円。月に4回は、恋人や友人たちと郊外のショッピングモールに行って、映画・ショッピングを楽しんでいる(1回2,000円で月に8,000円)。

○試算の月額を、賃金収入で得ようとすると、時給換算で男性=1,392円、女性=1,397円(中央最低賃金審議会で用いる労働時間=月173.8時間で除した場合)になるが、これはお盆もお正月もない、きわめて非現実的な働き方での数字である。ワーク・ライフ・バランスに配慮した労働時間で換算(月150労働時間)してみると、男性で1,613円、女性で1,618円となる。これまでに調査を行った他の17都道府県でも同様の結果が出ている。つまり、最低賃金は全国一律で1,500円以上に引き上げなければならないという結論に至った。

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